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Girls on Film(高野視点のおにぎり)

6月中に1本書き上げるのを目指していましたが、結局短編SS前編が関の山でした。
普通のスクランSS書いたのは久しぶりでしたが、ちょっと変わり種?で姐さん視点のおにぎりです。ちなみにこれはウエストさんのSSを読んで思いついたネタです。
書き上がる目処がついたら、色々と手直しした上で新生S3に初投稿する予定です。


◆Girls on Film Part1

 もはや晩秋というより冬の気配が濃厚に漂う放課後の旧校舎には独特のシュールな雰囲気があって好きだ。
 その一角を占める茶道部室で、晶はお気に入りの紅茶を飲みながら、少々物思いに耽っていた。この優雅な作りの出窓から覗く夕陽が沈む様は、設計した人物のセンスの良さを現していて、新校舎が建てられてもそのまま残した判断は正しいと確信している。
 バイトまでもう少し時間があるので、読書でもして時間を潰そうと鞄から本を取り出そうとしていると、ドアをノックをする音が聞こえた。

「どうぞ」
「失礼します」
 ノックをして入ってきたのは、後輩であり部員の八雲だったが、すぐにいつもと様子が違うのに気がついた。普段は自分と同じく無表情の嫌いがある八雲だったが、この時は頬をうっすらと朱に染めているのが夕陽で朱に染まった世界でも判別できた。
 
「あ、あの…、高野先輩。お願いがあるのですが……」
「どうしたの八雲?」
「そ、その……」
 言いにくそうにもじもじしている八雲を見て私は用件を推察した。

「茶道部室を私用で使いたなら別に良いわよ。私は…すぐ帰るから」
「え…」
「あら、違う用件だった?
「いえ…。その、部長ありがとうございます」
「いいのよ、この位」
 丁重にお礼を言いながら、嬉しそうに微笑んだ八雲の表情は、最初に出会った頃より随分軟らかくて素敵になっていた。
 そう。八雲のこんな笑顔が見られたのだから、少々時間潰しのネタがなくなっても惜しくはない。
 ただ一つ惜しいのは、絶好のシャッターチャンスにカメラが手元にないことだ。しょうがないので、ここは心のフィルムに焼き付けておくことで我慢しよう。

 いや、もう一つだけ悔しい事があったか。
 この柔らかな笑顔を八雲にもたらしたのは、私ではなく播磨君な事。付き合ってはいない、という話だったが、八雲の表情はこの噂が流れて以来、目に見えて豊かになってきている。
 どうにも悔しいので、もうちょっとだけからかって責任を取ってもらう事に決めた。

「もう日が暮れてきたし、何より屋上では寒いでしょう。播磨君」
「あ……。すいません」
 八雲は一瞬呆気に取られた後、頬に朱が差して俯き、はにかみつつ謝った。
 この表情も実に素敵で、ますます手元にカメラがあれば、と思ってしまう。
 そう思った刹那、早速ドアの陰に隠れていた播磨君が焦って飛び出してきた。

「ちょ、ちょっと待て!お前はどこまで知ってるんだ!」
「二人が何をしているかは知らないわ」
「そ、そうか。それならいいんだが」
 播磨君が心底ホッとした表情で安心するが、一体何をしているのやら…。
 もっとも、大体当たりは掴んでいるのだが、今は八雲のためにも黙っているのが賢明だろう。

「ちょっと待った~~!!」
「メガネ!」「花井先輩…」
 すると、これまたよく知るクラスメイトの怒号が鳴り響き、花井君が鼻息荒く乗り込んできた。
 今までの良い気分が吹き飛んで、頭が痛くなるがしょうがない。ここは二人の為に…。

「僕が入室禁止で播磨がOKとはどういうつもりだ、高野君!」
「あなたは入部テストに失格したのだから当然でしょ」
「それに播磨君は部員から招待されているのだから問題ないわ」
 まずは正論を叩きつけるが、やはりこの程度で引き下がるような彼ではない。

「それが問題だと言ってるんだ!」
「あの播磨が、八雲君と密室で二人きりになるなんて絶対に認められん!!」
「分かった。播磨君にもテストを受けてもらうわ。それなら納得でしょ?」
「ぶ、部長…」
 とても素晴らしいアイディアが浮かんだ。この点だけは花井君に感謝しないとね…。
 そして心配そうな眼差しな八雲に大丈夫だとアイコンタクトを送る。

「なるほど。それなら納得しよう。だが、不正は許さんぞ」
「それなら納得のいく立会人も付けるし、特別にあなたにもテストを受けさせてあげる」
「ほ、本当か!合格したら僕も入室自由だな!?」
「ええ。合格したら入室禁止は解除するわ」
「あ、あの~~。俺の意志は……」
 ふふ。きっと花井君は後悔するだろうけどね。
 私はそう心の中でほくそ笑むと、情けない声を上げる播磨君を無視して、早速準備に取りかかった。
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