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ノロケ話(八雲誕生日記念SS)

八雲誕生日記念で作成したSSを追加します。
八雲が17歳の誕生日を過ぎ、幸せになった日常の1コマを描きました。
ですから過程を重視される方には合いませんが、よろしければご一読下さい。

それからこのSSでは八雲は心を視れない設定です。
近日、サイドBを追加予定(のはず)。

IFスレに投稿したのを加筆訂正しました。
こっそり感想いただけるととても嬉しいです。
 
ノロケ話(八雲誕生日記念SS)

 
「いやー。これでやっと私にも八雲の背中が見えてきた、て感じかな」
 親友のサラは心底嬉しそうに話している。
「播磨先輩とラブラブで同棲しちゃってる八雲に追いつくのはまだまだ、だけどね」

「サラ…、その…同棲じゃない……」
「ふふっ、ラブラブなのは否定しないんだね~」
「も、もう…、サラったら」

 サラが喜んでいるのも当然だろう。
 サラが色々とがんばって、麻生先輩と付き合い始めて1年。
 ついに関係が大きく進展したというのだから。

「おめでとう、サラ」
 だから、私も心からの笑顔で祝福する。
 そして、つい気になって聞いてしまった。
「えと、大きくってどの位?」

 サラの目が無気味に光って怪しい。何だか怖い…。
「いやだなー。決まってるじゃない。八雲と播磨先輩が毎日やっていることだよ」
「お二人にはとてもとてもかないませんって」

 え……?毎日?
 胸に手を当て、わが身を思い出しながら、ちょっと赤面しつつ小声で聞く。
「……キス?」

 すると、サラは心底意外そうに目を大きく見開いている。
 違ったかな?

 付き合って1年だし、さすがにその位は進んでいるのかと思ったんだけど…。
 サラはシスターだし、麻生先輩も古風な人だからもっと清い交際をしているのかな?


「八雲、本気で言ってるの?私、てっきり二人は毎晩愛し合ってると思ってたのに。」
 それを聞いて、私はぼふっ!と音がしそうな位、赤面してしまう。
「え……。それは、違…」

「あー、若いといってもさすがに毎晩は大変だよね。じゃあ2日に1度?」
 おろおろしながら、真っ赤な顔で私は首を横に振る。

 その様子を見て、不審気な表情でなおもサラは質問を続ける。
「3日に1度?」
「4日に1度?」
 私は首を横に振り続ける。

「まさか…、1週間に1度?」
 尚も私は首を横に振る。


「………………………………………………」


 二人の間に気まずい沈黙の時が流れる。
 やがて困惑した表情でサラはまた尋ねる。
「……もしかして、まだ?」
「う、うん……。実は、まだ…」
 私は更に赤い顔で首をちょこんと縦に振り、凄く小さな声で答えた。

 その時のサラの表情は、麻生先輩には見せられない。
 正に信じられないものを見た、という感じだった。
「えぇ~!!信じられない」
「だって、八雲と播磨先輩はあんなに色々あった末に結ばれて」
「この間の八雲の誕生日に婚約して同棲まで始めたじゃない」

「そ、そんな事言っても…」
「それに同棲じゃなくて、一人暮らしは危ないから一緒に住んでもらっているだけだから…」


 そう、姉さんはもうこの家にはいない。
 卒業後、姉さんは烏丸さんのいるアメリカへ渡り、同じ大学への進学を目指している。
 とはいえ、さすがに私一人残して行く事は姉さんの心配の種だった。
 そんな折に、播磨さんからの婚約の申し込みは、姉さんにとって、渡りに船だったようだ。
 そして姉さんの提案により、播磨さんと一緒に暮らすことになったのが真相。
 ……もちろん、嬉しかったけど。

 そんな私の反論をサラはバッサリ切り捨てる。
「シャラーップ!世間ではそれを同棲と言うんです!」
「ああ!八雲の恋愛音痴がここまで酷いとは。主よ、お救いください」
 そ、そんな。サラ、憐れんだ目で十字まで切らなくていいから。

 大体、シスターのサラが不謹慎じゃないのかという私の反撃はあっさり撃破された。
「頑迷なカトリックと違って、英国国教会だからその辺は自由なの」
 ……本当なの?サラ?

「そもそも八雲と一緒に暮らして手を出さないなんて。もしかして先輩はED?」
 とても失礼なことを聞かれたので、ちゃんと否定する。
 この事で播磨さんがどんなに苦しんだか…。そして……

「ふーん…。そうなるとなんでだろう?」
 サラは首を傾げて考え込む。いや、そんなに悩まなくても。

 そして、サラは何かに気づいたようで、ハッとした顔になる。
 私はまた何を言われるのかと、ちょっとだけ身構える。

「八雲。毎日してることの答えがキスだったよね。」
 頷く私。
 なぜかサラは片頬をピクピクさせながら質問は続く。
「いつ、どんな風にしてるの?」

 恥ずかしいけど、正直に答える。
「えと…。おはようとお休みのキスを…」
「その度に『愛してる』と言ってくれて…」

 私の答えを聞いた瞬間、サラから何か黒い思念が出たのを見たような気がした。
 そして何かを小声で繰り返し言っているようだ。
「………。広義さんは全然言ってくれない。してくれない。……」

 な、何だか怖い。
 やがて気を取り直したサラは憤慨して話し始めた。
「私のパパはママに毎日、『愛してる』と言ってたわ」
「当然、同じようにしてくれると思ってたのに、広義さんは全然してくれないんだよ」
「『日本男子はそんなことは何度も言わない』、って突っぱねるし」
「いいなぁ~、八雲は」

 そういえばあまり意識してなかったけど、サラと麻生先輩は国際カップルだった。
 これが文化や価値観の相違というものだろうか。
「そ、そうなんだ。でも麻生先輩はサラを愛してくれてるんでしょ?」
「うん。それは信じてるんだけど、やっぱり言葉で聞きたいなぁって」
 サラのため息に私も同調する。

「そうだね。私もそう思う。」
 そう。思い出すと、つい顔が綻んでしまう。

 いつの間にか、サラは優しい笑みに戻っていた。
「でも良かったよ。八雲が幸せそうで」
「今の八雲の笑顔は羨ましい位に綺麗だったよ」
「え?…うん。ありがとう、サラ。」
 心の中で麻生先輩に謝罪しつつ、親友にエールを送る。
「サラならきっとうまく説得できるよ」
「ありがとう、八雲」
「今日から早速広義さんを教育しないとね、ふふっ」
「がんばってね、サラ」


――そして夜――


「播、じゃなくて拳児さん。お休みなさい」
「あまり遅くまで無理しないで下さいね」
 そう言いながら、私は朱に染まった顔を近づける。
「ああ、遅くまで手伝わせて悪いな。明日から学校なのによ」
「もうすぐ終わるぜ。お休み、八雲」
 拳児さんの頬もやっぱり朱に染まっているのを見届けて瞼を閉じる。

「愛してるよ、八雲」「ハイ、私も…」
 二人の唇は大事な想いを乗せた言葉を紡ぎ、重なり合う。
 お互いの愛しき想いを交換するかのように、厳かに。

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